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シャフトの選び方|基礎から専門知識まで

Introduction
クラブを選ぶ上で大切なことに その性能があるが それ以上に大切とも言えるのが そのクラブが自分に向いているか否かという点である。そんなクラブの向き・不向きに影響を及ぼす要素は 色々あるが 最も重要な要素の一つが シャフトの仕様と特性だ。自分に最適なクラブを選ぶ上でシャフトに係わる様々な知識が不可欠なことは言うまでもないが このページは そんなシャフトの仕様と特徴の説明に加え その装着の仕方によって変わるクラブの特性を理解し 自分に最適と思われるシャフトを選択し使用するために活用して欲しい基礎知識から専門知識までを詳しく説明する目的で作成されている。一方、下は そんなシャフト選びの基礎について分かり易く解説した音なし約 10分の動画だ。シャフトの知識があまりない人にも分かるよう編集してあるので ご覧下さい。なお、各種関連情報は 目次のタイトルをクリックで拾い読みもできるが できれば最初から順に通読して下さい。

シャフトの向き・不向き - 何に どれだけ拘るか

シャフトを選ぶ時に考えるべきことは まず その重さと硬さをチェックすることだが ただそれだけでは 当然 不十分である。クラブの特性は シャフトの硬さ、長さ、重量、重量配分(バランス ポイント)、キック ポイント(調子)、トルク、また、加工精度の問題と シャフトの装着法などに 大きく左右され、更に、シャフトとヘッドとの相性、クラブ全体の重量と バランスの影響も受けるからだ。加えて、クラブヘッドの重量、重心距離、重心角、その慣性モーメントなどの シャフトとヘッドとの相性への関与も大きい。そう分かってみると 自分に向いている 即ち そのケミストリーが最適と思われるシャフトが装着されたクラブを選らぶのは 至難の業だと感じる人が多いと思うが 自分に不向きなシャフトのクラブは 絶対に選ばない - まずは それを第一目標にすべきで そのために必要な基礎知識を身に付けて欲しい。その上で 自分のプライオリティに準じて 拘りの選択をして使用することが望まれるが、それをするためには それなりの専門知識を学び その上で 自分を知る必要がある。このページは そうした専門知識に興味のある人にも それなりの知識を提供できるよう配慮したものだが 初心者の方にも 役に立つ 基礎知識から順を追って解説しているので 自分のニーズに応じて 適宜 活用して下さい。

シャフトの基礎知識 - 種類と特性

シャフトまず、知っておいて欲しいことだが シャフトの種類 及び 仕様と特性は その素材、重量、形状、加工・製造方法などによって異なること そして その素材によって 一部に 例外的なものはあるものの 大きく (1) カーボンシャフト(グラファイトシャフトとも言う)と (2) スチールシャフトに分類されると言うことがある。より遠くへ飛ばすことが目的の一つであるドライバーは ほとんどが(樹脂と炭素繊維などで作られる)カーボンシャフトになっているが、アイアンは 遠くへ飛ばすことよりも 正確さが要求されるクラブで 相対的に重く 確りした感触の得られる(ステンレス鋼で作られる)スチールシャフトの人気が高い。また、カーボンシャフトは 相対的に高価なものが少なくなく、自分の望むスペックと品質のシャフトが 極めて 高価なものになってしまう可能性も否めない。

一方、ヘッドスピードとスイングのタイプ 即ち ヒッターか スインガーか(詳細後述)によってどのようなシャフトが向いているかは 概ね 決まると言われる。ヘッドスピードが早く 力のある人 所謂 ヒッターは 硬くて、重くて、トルクの低いものが適しているし、ヘッドスピードが早くても スインガーと言われるタイプのプレーヤーは あまり硬くなく、トルクも中程度のシャフトが一般的に合っていると考えられている。また、ヘッドスピードの遅い人は 逆の設定、つまり、軟らかくて軽めのシャフトを選ぶべきだろうし、ボールをより高弾道で打ちたい人は ローキックポイントで先調子のクラブが合う可能性も高いだろう。また、アイアンでも カーボンシャフトや軽量スチールシャフトがオススメだ。(詳細後述)

シャフトの「たわみ」「ねじれ」

シャフトは ダウンスイングの時に 鞭のように「たわむ」が そのたわみの力を上手く利用することで 同じスイングでも クラブヘッドのスピードを 10% 〜 15% 早くすることが出来ると言われている。そのパターンを 右図を使って説明すると (1) の腕がゆっくり加速しながら落ちて シャフトに力が「たわみ」という形で蓄えられるステージ、(2) の腕の動きの加速モードが終わって シャフトの「たわみ」が リリースされ始めるステージ、(3) のシャフトとクラブヘッドがキックする形でリリースされて蓄えられた力がエキストラの力を生み出すステージ、そして (4) のフォロースルーのステージに分けられる。

どのようなシャフトが合うのかを 単に ヘッド スピードだけで決められない理由は 主に この (1) (2) (3) で 力が蓄えられ その力が放出される リーリースとキックのパターンとタイミングが それぞれのスイングで異なるからである。前述のヒッターは (1) と (2) のスピードが 比較的 早いのに対して、スインガーの場合は (1) と (2) のスピードを抑えておいて (3) で ヘッドスピードを上げるスタイルだから ゆっくりしたテンポのスイングになる。加えて、シャフトの「ねじれ」方向への力 即ち 適正なトルクのシャフトの選択(詳細後述)に影響を及ぼすと思われる 腕と手首の使い方、つまり、プロネーション、スーピネーションの程度やパターンも 個々のゴルファーによって異なるから シャフト選択の基準は 極めて 複雑になる訳だ。» 参考

また、シャフトの「たわみ」が大きくなるに従って ボールの打ち出し角が高くなると同時に バックスピン量が多くなって行くという現象が起きる。そして、それが大きくなり過ぎれば そこからは ヘッドスピードが上がっても 飛距離は伸びない。それどころか 逆に 下がってしまうことにもなる。つまり、飛距離に重点を置くのであれば 打ち出し角とバックスピン量の最適化を図ることの出来る シャフトとヘッドの組み合わせに着目し 最適化を図る必要があり それがシャフト選びでは 極めて 大切なポイントになる。

いずれにしても、この「たわみ」のリリースとキックが 最適なタイミングで起きるようにし 且つ 「ねじれ」方向の運動がコントロールし易い シャフトとヘッドの組み合わせを選べば良いことになる。上手くコントロール出きれば「たわみ」も「ねじれ」も大きい方が その生み出すエネルギーは 大きくなるという理屈になるが「たわみ」も「ねじれ」も大き過ぎれば コントロールはし難くなるし 打ち出し角とバックスピン量に悪影響を及ぼす。また、クラブヘッドの重さを適度に感じるためにも 適度な「たわみ」と「ねじれ」が必要と考えられる。一般的には 柔らか目なシャフトの方がクラブヘッドの感触が伝わり易く、ドローを打ち易くなるが 柔らか過ぎれば 球が吹き上がったり 好ましくないフックが出易くなる。逆に、硬過ぎるシャフトでは ヘッドの重さを感じることが出来ず ボールが上がらなかったり プッシュアウトやスライスが出易いという傾向になる。

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シャフトの硬さ

シャフトの硬さは 基本的に「たわみ」の量に直結するものだが 柔らかい方から順に(J、L、A)R、(SR)、S、X、(XX)と表示される。硬いシャフトは 同じヘッド スピードであれば「たわみ」が小さくなる理屈で、例えば、40 m/s 以下のヘッド スピードの人は S 以上の硬いシャフトは 避けた方が良いといったような目安に使われる。

シャフトの硬さ

シャフトの硬さの測定方法には シャフトに重量をかけて そのたわみ量を計測する ベンド測定法と シャフトのグリップ部を固定してクラブを振動させて その振動数を測定する 固有振動数測定法とがある。最近では R、S、X といった表示の他に この振動数を表す数値が シャフトに表示されていることが良く見受けられる。振動数が毎分 260 (CPM) であれば 6.0、また、270 であれば 7.0 といったように表示するのが一般的で 同じメーカーの同じタイプのシャフトであれば 5.5 のシャフトは 6.0 のシャフトより 柔らかいことになる。しかし、この方法では シャフト ティップ(先)の特性を示す尺度にはならないなどの問題もある。そのような状況下、各メーカーが独自な方法でシャフトの硬さを表示しているのが現状で A社のシャフト S が B社のシャフト S よりも 全般的に硬く感じる などの現象が見られるだけでなく、同じメーカーのシャフトでも シャフトの種類によって 硬さの感覚に違いが出るというような状況も見られる。つまり、シャフトの硬さの表示は 非常に 分かり難くなっているのが実態で メーカーの表示は 参考値として使うべきだという考え方にもなっている。また、同じ S でも US スペックのクラブの方が全体的に硬めなシャフトである といったようなことも言われている。

一方、R 200、R 300、R 400 などという表記をするメーカーもあるが、これは シャフト重量の(2g 単位)違いを示すもので R 200 は R 400 より軽く柔らかいシャフトであるということになり、そうした同じ振動数のシャフトの硬さの感触の違いを表記するものという意味で こうした表記方法を サブフレックス (sub-flex) と呼んでいる。

トルク、調子、重量の影響

なお、曲げではなく ねじれ方向の硬さの指標となるトルク (torque) も シャフトの変形とクラブのリーリースに大きな影響を与える要素である。トルクの低いシャフトは スイング時の「ねじれ」が小さくなる訳だが 感覚(フィーリング)的には 同じ硬さ(stiffness)のクラブであれば トルクの小さい 所謂 ロートルクのシャフトの方が硬く感じると考えれば良いだろう。つまり、より硬い感じのするシャフトを 使いたければ スティッフで ロートルクのシャフトを選べば良いことになる。一般的に、スチールシャフトのトルクは 低く、アイアン用で 1.7 ~ 2.0、また、ウッド用では 2.5 ~ 3.0 といった範囲だから トルクをベースに選択する余地がないが カーボンシャフトは そのバリエーションが大きく、選択の幅が広い。カーボンシャフトは 2.0 ~ 7.0 位までの製品があり(3.0 ~ 6.0 の製品が最も多い)トルクが 3.0 以下のシャフトであれば ロートルクのシャフトと考えて良いだろう。一般的に ロートルクなカーボンシャフトは 高価なものが多いと言える。

また、キックポイント(調子)もシャフトの感触に大きな影響を及ぼす。通常は ローキックポイント(先調子)のクラブの方が 相対的に柔らかく感じ ボールが上がると考えれば良いだろう。一方、調子がフライテッド(flighted)と表記されたクラブも一部に見られるが それは 所謂 フローデザインの一種で ショートアイアンでは 手元調子、ミドルアイアンは 中調子 そして ロングアイアンが先調子といった具合に調整されたシャフトのことだ。なお、キックポイントのことを ベンドポイント (bend point) とも言い BP などと表記されることもある。

さらに、最近では シャフトの先端部 (tip) もしくは グリップ部 (butt) の硬さと トルクを意図的に硬く ロートルクにしたシャフトも出回るようになっている。先端部の硬いシャフトは ティップ スティッフなシャフトとか スティッフ ティップ シャフト (stiff-tip shaft) などと呼ばれ ボールの吹き上がりを押さえる効果と芯を外したショットのヘッド部の捻れを抑える効果があるなどと言われている。(» ギア効果)また、スイング テンポの早い 所謂 ヒッターには グリップ側が硬い バット スティッフなシャフトが適しているとも言われる。

ドライバー用のカーボンシャフトで軽いシャフトは 40 ~ 55g で、重めなものは 70 ~ 90g クラスのものまである。しかし、日本で市販されている ドライバーでは シャフト重量が 50g 台のものが圧倒的に多く、やや重めなものが 60g 台、そして、70g 台のシャフトまでは 一般に良く見かけるが それ以上重いシャフトのクラブは 極めて 少ない。» 商品情報

一方、アイアン用 スチールシャフトは カット前のシャフト重量が 90 ~ 130g のものが 最も 一般的だが、最近では 80g 以下の超軽量スチールシャフトも 出回っている。逆に、重いシャフトは 130g 以上のものまである。また、チタンのシャフトなども一部で利用されるようになっている。さらに、スチールシャフトのバリエーションが 最近では増え ライフル シャフト(ステップレス シャフト)や手元がグラファイトで 先は スチールのシャフト さらには シャフトの径やテーパーが従来のものとは異なったものなど 様々なスタイルのものが出回っている。 » アイアン用 スチールシャフトの詳細

シャフトの重量に関しては 通常 重めのシャフトは トルクが低く、力のあるプレーヤー用の仕様になっていると考えれば良いだろう。最近のドライバーは 相当 きめ細かにシャフトの仕様を決められるので 十分配慮して 自分に最適なシャフトとヘッドの組み合わせを見つけ出すようにして欲しい。 » ドライバー選びとスイング解析

シャフトの製造方法

ここで 簡単に シャフトの製造方法について説明しておこう。まず、カーボン・シャフトは 下の動画のように複数のカーボンシートを何枚も芯棒に巻き付けて成型し、高圧 ローリング、キュアリング、機械加工、品質テスト、仕上げ加工という手間のかかる工程を経て作られる。自動化されていない工程が少なくないので 生産コストは 応分に高い。一方、スチール・シャフトは ステップ・タイプと ステップレス・タイプに大別されるが 一般的なのは ステップ・タイプで その生産の様子を紹介したのが 右下の動画だ。スチール チューブを テーパー マシンに取り付け それを金型に差し込むようにして ステップを付け 細く 長くして 最終製品に近いものが出来上がるが 比較的 コストの掛からない生産工程である。下は 英語の動画だが それぞれの製造方法が ある程度 分かるものなので 興味があれば 見て欲しい。

カーボン シャフト 製造方法
スチール シャフト 製造方法

リシャフトとスリーブ(シャフト脱着式)

手持ちのクラブをリシャフトをすることで、場合によっては、より打ち易いクラブに変身することもある。リシャフトでは まず シャフトをヘッドから抜く必要がある。具体的には ソケットをヒーターで暖めて柔らかくし、柔らかくなったところで シャフトに傷をつけないように ソケットを切り取る。次に、ヘッドのホーゼル部分を暖めて 接着剤を柔らかくして ヘッドを抜きやすくしてから シャフト抜き機で こつこつ引っ張って ヘッドを抜くといった手順だ。次に、取り外して 綺麗にしたヘッドに 新しいシャフトを取り付けるが、ヘッドに 必要に応じて アダプターなどを取り付けてから シャフトを差し込み接着剤で ヘッドに固定する。最後に グリップを取り付ければ 作業完了だ。かなり手間の掛かる作業であるし 気に入らなかったからと言って 簡単にやり直しが出来るものではない。リシャフトで良い結果が得られる確率と そのコストを考えると かなりリスクが高いものであることは 否めない。

スリーブ一方、最近のドライバーや フェアウェイウッドは シャフトの先端に 右の写真のようなスリーブが付いている 所謂 着脱式で 調整機能が付いたモデルが多くなった。そうしたクラブでは シャフトが簡単に着脱できるので、ある意味、一眼レフのレンズを交換して カメラを使う感覚で シャフトの交換が出来るようになった。右図 (A) のように シャフトの先端部にスリーブ a2 を付けて その軸をシャフト a1 の軸に対して数度傾けて それが回転・固定できるようにしておけば その範囲内で シャフトの差込角を調整し フェース角とロフトの組み合わせが変わるクラブが出来上がる。ただし、(A) のようなスリーブの構造では シャフトの差込角の調整は かなり限定的なものになる。そこで、(B) のように b1、 b2、 b3 から成る 二段階で調整可能なスリーブにすることで シャフトの差込角の調整の自由度は 大きくなる。

しかし、実は そのような スリーブの付いたドライバーには 利点もあるが 欠点もある。ロフトやフェース角の調整が出来るのは 利点のように思えるだろうが シャフトには 歪があるので その点を考慮して 設定の調整をしないと 切れ味の良いクラブとは ほど遠いものになり兼ねないのである。どのような調整をするのがベストかは シャフトの品質にもよるが フェース角やロフトの微調整よりも 往々にして シャフトの歪の悪影響をミニマムにすることを優先した方が良いくらいである。(詳細後述) 加えて、一眼レフカメラのレンズが メーカーごとに違うように ゴルフクラブのシャフトに取り付けられているスリーブは メーカーやモデルごとに違うから リシャフトできるのは 同じタイプのスリーブが付いたシャフトに限られるのが現状である。また、必ずしも 同じメーカーのドライバーに付いていたシャフトだからといって 他のモデルのヘッドにも取り付けられるとは 限らないので その点も 要注意だ。» 詳細

シャフトの歪とピュアリング

既に、シャフトの歪の悪影響については 少し触れたが、最後に シャフト(特に、カーボンシャフト)の直線性や対称性(真円度、板厚)といった観点からの歪について 少し詳しく説明しよう。完全に真っ直ぐで 真円、均一な板厚のシャフトを作ることは出来ないから シャフトには そうした意味での歪がある。そうした歪のあるシャフトを無造作に装着すると スイング時のクラブヘッドの向きや軌道に悪影響を与えることになり、安定性を欠くクラブになってしまう。ところが、その歪に対して ある方向に クラブヘッドを装着すれば 歪の影響は 最小限になるという性質があり、その点に着目したのが シャフトのスパインアライメントとか ピュアリングなどと呼ばれる調整法である。一般ゴルファーの間では あまり普及していないが ツアープロの間では ピュアリング プロセス(Puring Process)と呼ばれ 多くのツアープロが利用するようになっている シャフトの取り付け方の工夫である。

シャフトにかかる応力一方、シャフトのスパイン ファインダー (Spine Finder) という ベアリングを使った簡単な器具で シャフトのスパイン、即ち、背骨とも言える 硬い箇所を見つけ、それに対して 一定の向きに(例えば、重心角に合わせて)クラブヘッドを装着する方法は スパイン アラインメント (Spine Alingment) と呼ばれるテクニックである。右の参考図は そのスパインを強調したものになっているが このような歪のあるシャフトをクラブヘッドに付ける時に (R) の方向から応力が掛かるように 装着すれば それを振った時に ヘッドは 安定した動きをせずに 暴れるが 板厚の厚い (S) の方向から応力が掛かるように ヘッドを装着すれば ヘッドは 安定した動きをするという発想のシャフトの装着方法である。ただし、板厚の厚い箇所が そのシャフトのスパイン (背骨) になるが シャフトには 程度の差こそあれ それが幾つもあるのが普通である。下の動画は 正しくシャフトが装着されていないクラブが暴れる様子、また、正しく装着されたクラブでは それが見られない という違いを写したものだが、実は 簡単な スパイン ファインダーを使用した スパイン アラインメントの手法(例えば、ヒール・トーのラインや重心角をスパインに合わせるような方法)では クラブの暴れを上手く抑えることは 難しいとも言われている。

シャフトの知識|ピュアリング
FLO スパイン アラインメント
そこで 考えられたのが FLO (Flat Line Oscillation) による スパイン アラインメントだが スパインがどこにあるかは チェックせずに 動画のようなプロセスで シャフトが暴れないような装着角を見つけ出す方法によって スパインをアラインする手法である。前述のピュアリング プロセスは FLO の原理を 主に 使った方法で スパイン アラインメントの一手法と言える。ただし、FLO による スパイン アラインメントは 他の手法に比べ 優れているとは 言えるものの 人間がクラブを振った時のヘッドとシャフトの挙動は 極めて 複雑だから 必ずしも ベストな結果を導き出してくれる方法だとは 言い切れない側面もある。

さて、ここで思い出して欲しいのが フェース角やロフトの調整が出来るスリーブ付きのドライバーに係わる前述の説明である。その調整が出来るのは 利点のようだが シャフトには 歪があるので その点を考慮して 調整しないと 切れ味の良いクラブとは ほど遠いものになり兼ねない と説明したが、以上の説明で その理由が 理解できたことと思う。どのような調整をするのがベストかは フェース角やロフトの微調整よりも シャフトの歪の悪影響をミニマムにすることに 主眼を置くこと。 調整のプロセスでは 弾道を気にする前に ミート率と左右へのブレなどの安定性に着目した調整を行った方が良い結果につながる可能性は 高いだろう。ただ、スリーブの調整機能は 30° 刻みの様に かなり大雑把になるのが普通だから その調整によって 歪の影響を どこまで減らせるかは 疑問も残る。とは言え、スリーブ付きのシャフトのドライバーを持っている人は その全ての調整可能なアングルを新たな視点で チェックしてみる価値があろう。

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