全米オープンのお話|2022年版
♦ 2023年大会
2023年大会は ロスアンゼルス市内の有名大学 UCLA のすぐ東側のビバリーヒルズに近い所にある Los Angeles Country Club の North Course で 6/15 〜 6/18 に開催される。このクラブは 創設が 1897年と 125年以上もの歴史を持つが メジャー大会が ここで開催されるのは 本大会が初めてのことである。ノース・コースは 1927年に George C. Thomas, Jr. の設計で オープンしたとされているが 多くの人がその設計に携わっている。現在のコースは Gil Hanse、他が携わって 2010年に行われた改修工事によって シェイプアップされたもので コースの評価は それによって さらs高まった。トーナメントは 7,236-yard / Par 71 の設定で行われるが 全長 7,530-yard / Slope 143 のモンスターコースだ。なお、今大会に出場する日本人は 松山英樹の他に 石川遼、永野龍太郎、桂川有人の計 4名。 PGA Leaderboard1 |
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335 |
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3,505 |
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In |
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388 |
468 |
598 |
133 |
505 |
455 |
498 |
3,731 |
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35 |
(Par 71) |
7,236 yards |
♦ 2022年大会
2022年大会は 1999年に ライダーカップが行われた ボストン郊外の The Country Club で 6/16 〜 6/19 に開催される。このコースは 1913年の全米オープンで Francis Quimet が優勝したこと(映画|グレイテスト・ゲームの元ネタになった大会)でも知られている。オリジナルのコースは 英国人の Willie/Alex Campbell による設計だが 1988年の全米オープン前には Rees Jones が改修工事を行っている。1963年、1988年の全米オープンも ここで行われており 全米オープンの開催は この大会が 4回目。日本人は 松山英樹、中島啓太、小平智、星野陸也、出水田大二郎、香妻陣一朗、杉山知靖と 7名もの選手が出場し、優勝は イギリスの Matt Fitzpatrick だdたが 松山選手が トップと 3打差の 4位に入賞した。1 |
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Out |
488 |
215 |
499 |
493 |
310 |
192 |
375 |
557 |
427 |
3,556 |
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In |
499 |
131 |
473 |
450 |
619 |
510 |
202 |
373 |
451 |
3,792 |
4 |
3 |
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4 |
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3 |
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35 |
(Par 70) |
7,264 yards |
♦ 2021年大会
♦ 2020年大会
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9 |
Out |
451 |
484 |
243 |
467 |
502 |
321 |
162 |
490 |
565 |
3,685 |
4 |
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4 |
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18 |
In |
214 |
384 |
633 |
212 |
452 |
426 |
498 |
504 |
469 |
3,792 |
3 |
4 |
5 |
3 |
4 |
4 |
4 |
4 |
4 |
35 |
(Par 70) |
7,477 yards |
♦ コース難易度と最近の記録
USGA は 全米オープン優勝者のスコアが イーブン パー (E) 前後になるようコース設定をすると言われているが 過去の記録を見ると そのスコアには 大きな差がある。下のテーブルは 最近の全米オープンの記録だが 2006/07年の優勝スコアは +5、そして、2012/13/18年のスコアも +1 で、アンダーパーにならなかったが 2014年は -9、2017年に -13、そして、2011/17年には -16 という記録的なスコアも出ている。
年度 | コース | 優勝者 | スコア |
2022 | The Country Club | Matt Fitzpatrick | -6 |
2021 | Torrey Pines South Course | Jon Rahm | -6 |
2020 | Winged Foot Golf Club, West Course | Bryson DeChambeau | -6 |
2019 | Pebble Beach Golf Links | Gary Woodland | -13 |
2018 | Shinnecock Hills G.C. | Brooks Koepka | +1 |
2017 | Erin Hills | Brooks Koepka | -16 |
2016 | Oakmont Country Club | Dustin Johnson | -4 |
2015 | Chambers Bay | Jordan Spieth | -5 |
2014 | Pinehurst No.2 | Martin Kaymer | -9 |
2013 | Merion Golf Club | Justin Rose | +1 |
2012 | Olympic Club, Lake Course | Webb Simpson | +1 |
2011 | Congressional Country Club, Blue Course | Rory McIlroy | -16 |
2010 | Pebble Beach Golf Links | Graeme McDowell | E |
2009 | Bethpage State Park, Black Course | Lucas Glover | -4 |
2008 | Torrey Pines Golf Course, South Course | Tiger Woods | -1 |
2007 | Oakmont Country Club | Angel Cabrera | +5 |
2006 | Winged Foot Golf Club, West Course | Geoff Ogilvy | +5 |
2005 | Pinehurst Resort, Course No. 2 | Michael Campbell | E |
2004 | Shinnecock Hills Golf Club | Retief Goosen | -4 |
2003 | Olympia Fields Country Club, North Course | Jim Furyk | -8 |
2002 | Bethpage State Park, Black Course | Tiger Woods | -3 |
2001 | Southern Hills Country Club | Retief Goosen | -4 |
2000 | Pebble Beach Golf Links | Tiger Woods | -12 |
コースの難易度を決定づける要因には グリーンの硬さ、スピード、ピン・ポジションもあるが 最大のポイントは ラフの深さだと言える。例えば、2006年の全米オープンが開催された ウィングドフット C.C. のラフ(優勝スコア +5)と 2011年のコングレッショナル C.C. のラフ(優勝スコア -16)には 以下のような違いがある。
また、ラフの設定は 前述のように (1) ファースト・カット (2) プライマリーラフ (3) セコンダリーラフ のような設定をするのが普通であるが 2013年のメリオン G.C. の設定などは ファースト・カットがなく いきなり 6インチのラフ(ただし、フェアウェイのエッジは直角に深いラフにならぬよう配慮)という設定をしたように 多少 距離の短いコースなどでは その難易度を調整するために さらに難しくする場合もある。» メージャー優勝者の記録
♦ 出場資格
USGA が定めた項目のパフォーマンス(例えば、メージャー優勝経験やライダーカップ、プレジデントカップなど大きな国際競技への出場経験等)をベースに その基準を満たしているものに出場資格が与えられる。
一方、アマチュアのトーナメントで完全なシード権が獲得できる大会は USGA が主催している全米アマだけである。また、以上の出場資格を有しない選手のために 規定の公式ハンディキャップの条件を満たせば(USGA HC Index 1.4 以下)誰でも参加できる予選が行われるから 文字通りの オープン選手権であるが 近年は 7,000 ~ 8,000人のゴルファーが この一次予選(Local Qualifying)に参加している。一次予選を通過した人と 一次予選を通過する必要のない資格(Local Exemption と言う)を持ったツアープロや トップアマの選手などが さらに Sectional Qualifying と呼ばれる二次予選を戦い その上位数名が本戦への参加資格を獲得する仕組みである。例えば、二次予選に出場出来る資格 Local Exemption は 過去の全米アマに優勝した全ての選手が(アマチュアである限り)有する。さらに、前年度の全米アマの準々決勝出場選手にも与えられる。また、全英アマ、全米ミッドアマ、全米アマパブリックリンクス、全米ジュニアアマの過去 3年間の優勝者(アマチュアに限る)と前年度の全米シニア・アマ、全米大学選手権などの優勝者にも 二次予選への出場権が与えられる。
二次予選は 米国の 12箇所とヨーロッパ(英国)、日本のそれぞれ 1箇所ずつの 合計 14箇所で行われ 約 750人の選手が この二次予選をプレーし 最終的に 本戦に出場出来る 156人が決定する。因みに、2005年優勝のマイク・キャンベル (Michael Campbell) は 英国で行われた予選に出場し 出場資格を獲得しての参加で優勝した。» US OPEN 公式サイト
♦ 優勝賞金
ゴルフのメジャー大会の賞金総額は どの大会も横並びで 800万ドルの時代が暫く続き 全米オープンの賞金も 同額に設定されていたが 近年は 賞金額を それぞれの大会が競い合うように 年々増額し 全米オープンは 2015年が 900万ドル、2016年が 1000万ドル、2017年には 一気に 1200万ドルにまで 増額され 2018年も 1200万ドル、そして、2019 〜 2022年は 1250万ドル (優勝賞金 225万ドル) の賞金総額になっている。因みに、マスターズの賞金総額は 2015-6年が 1000万ドル、2017-8年は 1100万ドル、2019年に 1150万ドル (優勝賞金 207万ドル) 、また、全米プロは 2015年が 1000万ドル、2016/17年 1050万ドル、2019/20年 1100万ドル、2021年に 1200万ドル (優勝賞金 216万ドル) と増額されているが、2017年以降は 全米オープンの優勝賞金が ゴルフ競技では 世界一になっている。
♦ 歴史を刻んだ人たち
全米オープンの第一回大会は 1895年 10月 4日に ロードアイランド州(ボストンの南)のニューポート G. C. (Newport Golf & Country Club) で開催されたが その時の参加者は 僅かに 11名だった。36ホールのストロークプレーを 一日で行ったもので まだ ガッタ・パルチャのボールを使っていた時代であるが、その優勝者は ホーレス・ローリンズ (Horace Rawlins) という英国人のプロで 91, 82 のトータル 173 というスコアだった。ローリンズは 優勝賞金として 150ドルと金製のメダルを獲得した。その時の賞金総額は 335ドルであった。
初期の全米オープン優勝者は すべて英国人や英国から米国に移民した人達であったことからも分かるように 全米オープンが始まった当時の米国のゴルフのレベルは 英国に見劣りするものであった。初めて 米国生まれの米国人が優勝したのは 第一回大会が開かれた年から 16年後の 1911年だったが その年に優勝したジョン・マクダーモット (John J. McDermott) は 翌年 1912年の大会にも優勝している。その後、米国でのゴルフ人口は急増し そのレベルは 急速に 英国のそれに近づいた。その象徴とも言える米国生まれの偉大なゴルファーが ボビー・ジョーンズで 彼は 1923、1926、1929、1930年の全米オープンに優勝しているばかりか 1926、1927、1930年の全英オープンにも優勝した。しかも、彼は 生涯 アマチュア・プレーヤーとして競技に参加し 全米アマ、全英アマのタイトルも獲得し 当時のグランドスラムを達成した唯一のゴルファーであった。
全米オープンの最多優勝記録は 4回で、ボビー・ジョーンズの他に 3人 (ウィリー・アンダーソン、ベン・ホーガン、ジャック・ニクラウス) が それを達成している。次いで、タイガー・ウッズが 3回の優勝を果たしている。その他に 比較的 近年の大会で複数回(それぞれ 2回)優勝しているプレーヤーには、アーニー・エルス、ルティーフ・グーセン、リー・ジャンセン、カーティス・ストレインジ、ヘール・アーウィン、リー・トレビノ、そして、若くして飛行機事故で亡くなった ペイン・スチュアートなどが居る。 » メジャー優勝者とグランドスラムの記録
全米オープンを制したアマチュア・プレーヤーは 過去に 計 5人居るが 最後にアマチュアが優勝したのは 1933年のことで (John Goodman という選手) 75年間、アマチュアの優勝者は出ていない。ボビー・ジョーンズの他で 良く知られているアマチュア優勝者の中には 近年映画にもなった The Greatest Game Ever Played(邦題・グレイテスト・ゲーム) で紹介されている フランシス・オウィメット (Francis Ouimet - 1913年大会で 当時 20歳) も居る。 ボストン郊外の The Country Club で開催された第 19回大会で 彼は無名の地元プレーヤーとして 当時 飛ぶ鳥を落とす勢いだった 英国のハリー・バードンをプレーオフの末破って優勝した。 » 映画 (DVD) に興味のある方は、こちら。